【まとめ】 日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか

 

日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか
 

 

2009年に成立した鳩山政権が沖縄米軍基地を国外、最低でも県外に移設すると公約に掲げながら頓挫したのはなぜか。⒊11であれだけの放射能被害を出しながら今もなぜ原発は稼働しているのか。それは世論や、最高法規である憲法ですら及ばない「力」が働いているからだという。その「力」に迫ったの本書だ。

日本人は自分たちのことは自分たちで決めていると思っているが、それは思い込みだという。その代表例が沖縄基地問題だ。沖縄本島の18%が基地で占められており、ヘリは爆音を鳴らし上空を自由に移動できる。墜落事故が発生すればその場所は米軍関係者しか出入りできず治外法権になってしまう。さらに近年沖縄の米軍基地に1300発の核兵器が配備されていたことがアメリカの公文書で明らかになった。日本の憲法9条や核三原則は平然と踏みにじられていた。

ではなぜ日本の基本的人権はこれほど踏みにじまれるのか。本来権力者の暴政から国民を守るはずの憲法が機能していないからだ。在日米軍の存在が憲法違反かを争った砂川裁判で裁判所が憲法判断を拒否したからだ。統治行為論といい高度な政治的な問題に対しては裁判所は判断をしないということだ。この瞬間に憲法よりも日米安保条約が上位になったという。

 

これは福島の原発事故の裁判で当てはまることで福島第一原発付近に住む住民の健康被害に懸念を表明しつつも、「直ちに不可逆的な悪影響が出るとは証拠上認めがたい」という矛盾したことを判決で述べている。

 

そもそも憲法自体が日本の敗戦時に占領軍が草案を書いたという点、それを日本人自身が書いたことにしたという点も大きな問題だった。そのことにより未だに憲法論議は二派に分かれて争っている。