感想【映画:「ホームレス ニューヨークと寝た男」】
2年前の公開から面白そうだなぁと思いながらやっと観た。
主人公のマーク・レイはファッションモデルを撮影して出版社に売り込んだり、映画のエキストラなど生業としているニューヨーク在住の52歳のホームレスだ。
ホームレスといっても一般的なイメージとはかけ離れており、身なりはすごく綺麗で身長は高く、ジムにも通っていて引き締まった身体をしている。
若い頃に自身がモデルをやっていて、今でも中年モデルとしてやっていけそうな見た目だ。
終始陽気だし、スタイル抜群な美人モデルにバリバリ声かけるし、完全なモテ男感しかない。
そんな人間がなぜホームレスなのか。
日本語の紹介文だと「新しいライフスタイル」「ミニマリスト」などと書いていて、
そういう系の話なのかと思ったが、実際は悲壮感溢れる彼の現状、ニューヨークという都市の暗部を映し出した作品だった。
彼の実家は貧乏で、彼自身の仕事も現状うまくいかず貧困生活だ。使えなくなった剃刀代をケチるほどに。
彼曰く、ニューヨーカーの半数以上が今月の家賃の支払いに不安を持っており、彼自身もいつ屋上生活がバレて捕まるかの不安を抱えていて、緊張の糸が切れることはないと語る。
両親に対して親孝行できないことが彼を鬱屈にさせるし、自分に対して自信や自己肯定感がないから好きな女性に愛してるの一言さえも一度も言えず終い。
彼がそんな孤独なホームレスだとは周りは知らない。
いろんな見方ができる作品だと思う。
主人公マーク・レイの生き様、ニューヨークの暗部、ファッション業界。
少なくとも彼を「新しいライフスタイル」の実践者、「ミニマリスト」という見方をするのは間違いだと思う。
最近観たドキュメンタリーでは1番だった。