【感想】未来のアラブ人
大型書店で膨大な本に囲まれながらいろんな本を手に取ることが自分の中では一つの至福の時間。
福岡という地方都市住む人間にとっては大型書店は博多の丸善、紀伊国屋か天神の丸善だろう。家からも職場からも近くなく、休日にわざわざ行くのも面倒なので本を買うのは大体アマゾン(キンドルも含め)。
しかし、アマゾンでは欲しかった本は買えてもまだ知らない未知の本との出会いはない。
その欲しかった本も読んでみたら思ったよりも難解だったり、面白くなかったりする。
特に目次をオープンにしてない本は想像がつきにくく、本のタイトル、表紙、出版社、著者、レーベルでしか想像できないので外すことが多い。
せめて目次や前書きくらいはオープンにして欲しい。
なので、久しぶりに博多の丸善に行ってきたら目に止まったのがこの本。
漫画なので読みやすいし、日本人にはよくわからない中東情勢といった難しい話もない。
シリア人の父とフランス人の母から生まれた著者の幼少期、リアド少年の物語。
フランスで生まれたリアドは父の仕事でリビアに引っ越すとこから始まる。
そこでは当時のリビア人の生活がリアルに描かれていて、個人所有が禁止されているので家は空いているとこなら自由に住める、配給制でバナナばっかりだったなど当時の生活がわかる。
その後シリアに住むことになった時もリアド少年は髪が金髪だったのでユダヤ人と言われ虐められたり、アラビア語が喋れないので学校に行きたくなかったりと当時の経験を淡々と描いている。
リアドの父はアラブの発展を夢見ていて、息子のリアドの教育には熱心で、リアドが学校に行きたがらないのをいつも問い詰めるし、コーランをアラビア語で読むことを強制する。
そうして息子のリアドを「未来のアラブ人」に育てようとする。
この父からの情報量は多く、それだけリアド少年とって父の存在が大きかったことがわかる。
二巻以降も発売予定らしいので待ち遠しい。