【感想】わが魂を聖地に埋めよ
原著のアメリカでの出版が1970年で当時のノンフィクション部門の1位をとったらしい。この本に書かれている一時期の歴史はアメリカの暗部だが、出版当時に購入したアメリカ人がどういう思いで読んでいたのか知りたい。
先住民インディアンがどのような目にあい迫害されてきたかは大雑把にしか理解していなかった。コロンブスがアメリカ大陸を発見し、そこをインドだと思い込み、そこに居住している先住民を「インディアン」と名付けた。その後イギリスからやってきた多くの白人が土地を求めて、金を求めて先住民のインディアンと衝突して勝ち取って行くという一般的認識しかなかった。
なぜインディアンについて興味を持ったかというとインディアンに関係する二つの映画を観たからだ。
一つは「ウインドリバー」という映画。ジャンルはサスペンスだけど背景にはネイティブアメリカンが現在でもどのような立場に置かれているのかが描かれている。
本でも「保留地」というワードが何度も出てくるが、気候も厳しく、農業にも適さないので先住民が病気やら飢えでバタバタと死んでいった。治安も悪く病気よりも殺人で死ぬ人が多いとも言われる。ウインドリバーもその一つ。
背景にはアメリカの暗い歴史があるのだけどサスペンスとして面白いし、人間模様もあって、主人公のジェレミーレナーのスーパーヒーローの活躍も観れるので面白い。
映画としても面白く、尚且つ社会的なメッセージもしっかり訴えてくるハリウッドの上手さは流石だと思った。ウインドリバー
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二作目は「レヴェナント」。ディカプリオが初めてアカデミー賞とったほどの作品。
時代は西部開拓時代。最初から主人公の毛皮ハンターチームとインディアンの殺し合いのシーン。血なまぐさいシーンが多すぎて見る人にとってはきついものがあるかもしれないけど、この映画でインディアンは大きな比重を占める。インディアンと殺しあうこともあれば協力することもあり、インディアンも部族によってだいぶ違いがある。
ディカプリオの俳優魂溢れる一作。
本書に話を戻すと、内容は白人によるインディアンへの一方的なジェノサイド。金と土地を求めて大量に入植してくる移民に押しのけられ殺戮されていった。その手法が詳しく記述されており、最初に補償金や条約によって懐柔しようとするも約束は守らず、武力による恫喝、気候も厳しく不毛な保留地への強制移住。移住した先で新たに金などの資源が発見されれば約束などあっさり反故されてしまい再移住させられる。救いようがない話の数々である。アメリカという国の成り立ちについて教科書では詳しく出てこない話なので本書と挙げた二作の映画を観るとインディアンについて理解が深まると思う。