感想【日本の「中国人」社会】
昨年の夏に神戸の中華街に行って中華料理を堪能した時に、本場中国っぽいというか、普段日本の中華チェーンで食べている味と違うものを想像していたのだが、あまり変わらなくてそんなものかと感じたのを思い出した。
もちろん美味しかったが。
まあ同じ中華料理というジャンルだし、客の大半は日本人なので日本人の好みに合わせて作られたのだろう。
本書で述べられているが、中国人が行く中華料理店と日本人が行く中華料理店は全く異なるらしい。
中国は広大なので地方によって味付けもかなり異なり、同じ中国人でも好みが別れる。
いつか自分も中国に行って食べて見たいと思った。
別に本書は中華料理について書かれた本ではなく、一言で表すなら日本に住んでいる中国人は何を考えているかだ。
自分が感じたのは非常に上昇意欲が強いというか、競争に勝つことを意識していて、常に何かに追われている忙しそうな人たちだなと思った。
特に富裕層はそんな感じの人ばかりで、子供への教育熱がすごい。
そして常に母国中国と日本を比較している。
このストイックさは成熟した日本人社会では中々見られないのではないか。
ただ上から目線というか見下した見方になるかもしれないが、こういう人達は上に行くことに必死で日々の幸福とか実存について考える段階までは行ってないのかなと思った。
今でこそ「働き方改革」という言葉があるが、昔の成熟する前の日本も猛烈に働いて豊かになることだけを考えていた時期があったのだから、発展している国は皆通るフェーズなのだろう。
日本という異国に暮らす彼ら彼女らとっては自分は外国人であり、子供の将来や自分の人生については日本人とは違う部分で悩む。
そういう人たちを理解し、共生していこうよというのが本書の願いだ。